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生活創造建築家 タナベアツシのブログ 2007年2月

キッチンをよく見る! イタリアでの経験を生かそう

 私は主に住宅の設計をしている建築家ですが、イタリアにそもそも留学しようと考えたのは 建物の修復の勉強もさることながら、
人のための家づくり”を再認識する 一から人の生活を見直してデザインをご提供したい という目標がありました。

 今回は特に先日のゆうこりんオレキエッテのこともあるので、キッチンに絞って書いてみます。

 人はキッチンでどう動くのか。
 人が食事を通してどのようなコミュニケーションを作っていくのか。
 食材から食事に変わるその瞬間 どのような行動をし、どのようなスペースが必要か。

 こんなことを実際イタリアでの生活を基に経験してきました。
 実際私も調理をするので(何年も前から 妻Kの指導のもと 脱!男の料理 を目指しています 笑)、イタリアの家庭でも5家庭のキッチンに立たせていただいたこともあります。

たとえばこんな写真。



 これはニネッタママの妹 ニーナおばさんの家族のお家。去年復活祭にてホームパーティーをしたときです。アドリア海の海辺ですので、魚介類が得意。
 ニネッタママはたくさんの袋に食材(アルベロベッロ=丘=肉野菜)をつめ 持ち寄ります。
 この姉妹、二人とも料理には自信がありますが、二人の料理の系統は全く別物。 これをひとつのキッチンでどう裁くか 見ものでした。

 プライドとプライドの勝負。お互いの距離を持ち、なんとなくテリトリーがわかれ、その間に息子 ヴィンチェンツォが雰囲気をつなぐ という配置に。
 嫁のマルゲリータはバランスよく”二人の姑”に仕えます。

 どこも同じだー 笑 イタリアのキッチンにも”社会”があるんです。(当たり前か)

 コンロはニーナおばさんのもの。ニネッタはこの日 サラダを担当。
 そしてなんとなく食卓ができちゃういんですねー 
 私がここでみたことは、
パーティー時に二人以上のシェフがひとつのキッチンに立つ際 どういうスペースが必要か”をじっくりチェックしていました。 具体的な寸法は 今後の自身の設計に使わせていただきます。



 で これは アルベロベッロ郊外のニネッタママの別荘での釜です。 釜は男性が担当。 息子とおじさんがやります。
 今度は”粉をまとめる息子”と”それを焼くおじさん”と持ち主であるニーノパパの指示。この3人が2.5畳程度の小さなスペースで瞬く間にピザが焼きあがる! ここでは 男性の立ち位置と最低寸法、高さ 人間の動きなど、チェックできました。皆さんもピザ釜、いかがですか?



 実際食べるとき。サラダやパスタは座って食べます。
 ピザや食後のお菓子などは立って食べる。お酒もまわってうろうろする。座って食べていた時話せなかった人たちとコミュニケーションを取る。その動きやスペースも 絶妙なものがあるんですね。 
 イタリアはホームパーティーが多いので、ことパーティーに関してはまだまだ学ぶことも多いですね。

 日本に帰国してキッチンのデザインをすると、イタリアでの経験は意外にもすぐに役立ちました。
 美しく見せるキッチン だけではなく、使いやすく 片付けやすく 過剰なスペースでなく 狭すぎず。。 安全で効率の良いキッチン。食材の調達から保存庫(パントリー)の配置、冷蔵庫の配置、それをどう処理して ゴミを捨て 煮て焼いて。。 などなどを整理することで、より的確にデザインできるようになったと実感しています。
 食べる という本能から、人とのコミュニケーションも生むことのできる”食空間”。奥が深そうです。




来週のウルルン滞在記はプーリア!

ビックリしました。
今 妻Kと”ウルルン滞在記”を見ておりました。
カンボジアの地雷除去の家族の大変な生活を 見ておりました。
 いつもの切ない 感慨深いエンディング(今週は特に深かった)の後、来週の予告をみたら、


なんと
ゆうこりんこと 小倉優子さんが 我々の住んでいた3つ隣町の”オストゥーニ”という町で パスタ”オレキエッテ”をイタリアマンマから学ぶ!というではありませんか!!

びっくりしました



これがオストゥーニの町です。私の事務所のトップページも飾ったことのある町。 

ゆうこりんが オレキエッテを作る?
オレキエッテは俊敏な業を要するパスタです。 前々回書きましたとおり、熱湯でこねて 暑いうちにすばやく作らないと乾いてしまうパスタ。 テレビではのんびり見えるゆうこりんが作れるのでしょうか。?

オストゥーニは 私のブログでもたまにでてくる”白い要塞都市”で、古くは中世以前からある 迷宮です。アドリア海からの敵を見張る丘の上に建てられており、それはまさに要塞そのもの。
前回のチステルニーノ同様、漆喰で塗り固められた町ですが、ここは丘の上にあるプラス 坂道。
 町全体がひとつの建築物のような構造になっており、町の中心が一番標高が高く、町の端部は一番低い。つまり雨が中心から端部に向かって流れ落ち 町の樋でもって雨を流す仕組みになっている 災害上でもとても優れている町です。上の写真のポツポツと壁から出ている突出物が 町の樋にあたる物体です。

 階段も多いのですが、チステルニーノと違い、建物の2階に上がる階段ではなく 道そのものが階段になっていることが特徴です。 



この迷宮感といったら、プーリア州の中でも一位 二位を争う臨場感。 私の姪っ子ちゃんたちも走り回った 大変印象的な町でもあります。
 予告では”トマトソース”や”菜の花パスタ”が出てくるらしい気配がありますが、 これは実はバーリ(bari)というプーリアの州都の方が有名で オストゥーニはむしろサラミや肉料理の方が一般的なんです。

 私も来週の”ウルルン”楽しみにしております。
 P.S.前 TBS 世界ふしぎ発見! でアルベロベッロを特集した際、残念ながらクイズの答えが根本的に間違っているようです。詳しくはここではいえませんが。 今回もそのような誤報道がないように祈っております。


アルベロベッロの隣町 チステルニーノ

このところ、私の利用しているブログ管理が 中国のハッカーにやられ その対策をしている とのことで、ものすごーく重たくなっていたみたいで、ご覧の皆様にも大変ご迷惑おをおかけしていました。 すみません。 更新も遅れています すみません。

 帰国してから5ヶ月過ぎました。
 すっかり日本人生活のタナベですが、イタリアに遊びにきてくれた友達と会うと、イタリアでの経験が新鮮によみがえってきます。
 イタリアの友人からもちょくちょくメールをいただき、(イタリア人は普通メール不精なのですが 苦笑)ああ 南イタリアにいたんだな と、ふと呼び覚まされます。

 今回はアルベロベッロ近郊のチステルニーノ という町をご紹介します。

 ここは”イトリアの谷”といわれるプーリアでは肥沃な丘陵地にあり、 白ワインの産地としてとても有名です。
 また、牧畜も盛んで 羊、豚 うさぎなど、本当にうまい肉が手に入る 肉好きにはたまらない町です。

 旧市街は古く、500m四方の小さな丘の上にある平坦な土地に密集しています。 電車もありますが、谷にあるので町までは歩いて1時間かかる 非常に不便なところ。
 車があるととても楽です というか プーリアは車がないと非常に厳しい。。

 旧市街、アルベロベッロのように 壁は石灰岩 石灰(しっくい)塗り という真っ白な町並みです。道は2mから3mくらいの幅しかなく、車は不可。 さらにこの狭い町並みに”外階段”がくっついています。



 これは、ひとつの建物を家族で財産分与した際、2階以上の持ち主による仕業 と聞いています。
 つまり中世の2世帯住居リフォームの跡
この階段がこの町の社会と景色になっています。

 日本にもどって 集合住宅や一戸建てのデザインをしていますが、つねに階段は頭を悩ませるところ。 階段デザインは居住性と利便性、空間の持つ豊かさを表現できる また安全性も持ち合わせていないといけない重要な部分ですが、このチステルニーノの外階段はいつも私に勇気と希望を持たせてくれます。

 ”人はけっこういろんな所を登れる”そう、危ない階段は気をつけて上り下りをするので、あまり転ばないらしい。
 外階段がついてても 下階のリビングも”そこそこ”明るいではないか。
  単なる上り下りではない 空間のエッセンスになる階段 って 豊かだと思いませんか?
 
 でも高齢者や子供たちには大変ですよね。 このバランスが難しいです。