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アルベロベッロの町はいかに白いか?



アルベロベッロは ご存知世界遺産にも登録され、さらに わが国の岐阜県荻町白川村との姉妹都市を結んでいる農村型集落です。

 この町に日本人は年間1万人観光にいらっしゃる とのことです。
”あのとんがり屋根の町!”
”ムーミンが住んでそう!”
などで わりとメルヘンチックな印象を受けがちなこの アルベロベッロ。

 住んでから7ヶ月経ちました。 この町と付き合い始めてから およそ9年。。

 この町、もちろんいまではすべてが民家”トゥルッロ”なわけではありません。 わが父 ニーノ親分も しばしば鉄筋コンクリートの建築をアルベロに建てております。

 しかし、他の町(イタリアも日本も含めて)と比べ、ものすごおーく 白いことに気がつきます。
 それは トゥルッリだけではなく、新しい鉄筋コンクリートの建物も含めてです。
 遠くからこの町を眺めると、本当に白い町!
それがオリーブ畑やカシの木と融合して あんまり違和感のない 清潔な町を構成しています。

 新築の建物もけっこうあるこのアルベロベッロが 統一された色(材料 といったほうがいいかもしれない)でありつづける努力をしたのは

なんと

アルベロベッロ町役場 そのものなんです。

日本では ここまでの統一は 考えられません。

アルベロベッロには 日本の市町村と同じく ”景観条例”なるものがあります。しかもこれがものすごく優先順位が高い!つまり条例なのに法律に近い!

要約すると、、

1 トゥルッリを尊重した建物とすること
2 教会よりも高い建物は根本的に建築不可能
3 建物の外観は 白 もしくは 自然素材の色とすること
4 白の素材は 伝統的な石灰が最も望ましい
5 その他 各地域によって 用途地域が制定、細かな建築基準が制定
6 たとえ建築工事が進んでいたとしても それに対し町は異議申し立てができる
7 その意義申し立ては ”美しくない!”という理由もまかり通る!!

こんな感じです。

 特に上記4を補足すると 石灰を使う事を推奨することで、いままで伝統的に石灰業者だった人々は仕事を失わなくてすみます。つまり 伝統的職業を良い意味で保護しているのです。

ちなみに 日本では、

1 建物を建てるためには 町に申請しなくてはいけません。これを俗に”確認申請”といいます。 最近3,4年で規制緩和がなされ、民間の申請業者でも確認申請を受理→認可 という経路をたどれるように。 これがあの”○歯事件”につながる規制緩和の一環です。
2 市町村には 日本でも数々の”条例”が制定されています。
景観条例もありますが、アルベロベッロのように うるさくありません。 たとえば、新宿区では
 エアコンの室外機は見えないように
 自転車置き場はちゃんと設置のこと
  
 などなど かなり適当です。
 つまり 日本の条例は 役所の立場を守るだけで 本当の美しい街づくりをしよう! という気持ちがあまり伝わってきません。


では アルベロベッロで だれが こんなめんどうくさい条例を判断しているのか?

実は

イタリアの各市町村には 建築家と都市計画家を抱えている


んです。
日本では 賄賂の対象になりかねませんね。
でも彼らは 市町村の建築家になった以上 民間から仕事をもらってはいけないことになってます。
彼らが一環して 一つ一つの現場を ”美しいか” ”ふさわしいか” 判断し、 ひどい工事には 工事停止 という権限も持ち合わせている ということ。
 つまり 言い換えれば ”法律の条文を尊守するだけではなく、町を冷静に見据えた上で 一つ一つのプロジェクトに口をはさむ” ことができるんですね。

 そして 美しいアルベロの町を作る という町の気持ちは住民にもよく伝えられ 皆さん土色の植木鉢に花や植物を飾ります。自主的に! です。この不統一な統一は 風景につながります。なにしろ”心”が入ってますから。

 建築家にとってはちょっとめんどくさい ですが、でも町全体の風景を考えた上で 役所が権限を持っている ということは ”建築家と役所が プロとして話ができる”というシステムが築けている”ということにもなります。

 故に アルベロベッロは近代化 現代化が進んでも ある程度の”節制”をもって いままでの風景を最小限の消滅で食い止めている といえると思います。

そこで思うのは、

日本の役所も 本当に自分の町の住みやすさと快適さと美しさを守りたいと思うなら もっと専門家を役所に入れ込むべきだ! と 思うんですが、いかがでしょうか。 これまた賄賂につながるんでしょうかねえ

町を生かすも殺すも 役所の采配次第 と 思ってしまいます。

このブログをご覧の皆さまにも ひとつ聞いてみたいなあと思います。

どうです? あなたの住んでいる街は 美しく 住みやすいですか?


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